★ 健康診断結果の読み方 ★

家族歴

 大切なのはくも膜下出血の家系です。祖父、祖母までの親族にくも膜下出血で死亡あるいは手術した人がいれば、ご自身が特に症状がなくとも一度は脳ドックを受けるか、脳神経外科を受診して、能動脈瘤の有無を調べてもらうべきです。
 また、多発性嚢胞腎と診断された方の脳動脈瘤合併の割合は12〜16%と高率ですので、同じく脳の検査を受けるべきです。


標準体重

 標準体重(Kg)は、身長(m)2×22で算出します。
 肥満度は、最近はBMI(Body Mass Index)指数で判定します。BMIは体重(Kg)÷身長(m)2で計算し、22を正常値としていますが、普通体重として18.5〜24.9と幅を持たせています。

指定区分
低体重
普通体重
肥満1度
肥満2度
肥満3度
肥満4度
BMI指数
18.5未満
 
18.5
〜24.9
25.0
〜29.9
30.0
〜34.9
35.0
〜39.9
40.0以上
 


血圧測定

 2000年6月30日、日本高血圧学会高血圧治療ガイドライン作成委員会は高血圧を140/90mmHg以上と定義しました。
高血圧症を
 @軽症高血圧(収縮期140〜159mmHgまたは拡張期90〜99mmHg)
 A中等症高血圧(160〜179mmHgまたは100〜109mmHg)
 B重症高血圧(180mmHg以上または110mmHg以上)

に分類しました。
 同ガイドラインは、若年・中年、糖尿病患者における後圧目標を収縮期130mmHg/拡張期85mmHg未満、高齢者における目標を140〜160mmHg以下(年齢を考慮)/90mmHg未満に設定しています。


成人における血圧の分類

分類
収縮期血圧(mmHg)       拡張期血圧(mmHg)
至適血圧
<120 かつ <80
正常血圧
<130 かつ <85
正常高値血圧
130〜139 または 85〜89
軽症高血圧
140〜159 または 90〜99
中等症高血圧
160〜179 または 100〜109
重症高血圧
≧180 または ≧110
収縮期高血圧
≧140 かつ <90

尿検査

 尿糖が陽性になる疾患は糖尿病腎性糖尿の2つがあります。糖尿病の場合は血糖値とヘモグロビンA1cの増加が認められますが、腎性糖尿病の場合はこれからの増加はありません。
 尿蛋白が陽性の場合は、何らかの腎実質性障害のあることを意味しています。しかし、軽度の蛋白尿の時には、病的な意味のないこともあります。すなわち、運動後、入浴後、発熱時、月経前などでは腎臓に障害がなくとも尿蛋白が陽性になることがあります。従って、尿蛋白陽性の場合、日にちを替えて2〜3回検査を繰り返すことが必要です。持続的な蛋白尿がある時は、一日尿蛋白量の程度を測定します。そのためには、丸1日分すべての尿をためておかねばなりませんが、現在では外来受診時に出してもらった1回尿中の蛋白量とクレアチニン量を測定して、蛋白量(mg/dl)/クレアチニン量(mg/dl)=1日蛋白量(g/日)として推測できます。1日蛋白量が1g未満では腎病変はそれほど進行しないが、1g以上の場合には進行することが多いと考えられています。成人の場合、疾患としては慢性糸球体腎炎、腎硬化症、糖尿病性腎症が多いようです。
 尿潜血反応は、尿中の血液の一部が溶血しているので、赤血球に含まれるヘモグロビンに反応して陽性を示します。

試験紙による尿潜血反応の検出感度は非常に鋭敏であり、健常人の集団健診でも約10%ほど陽性に出ます(偽陽性が10%はある)。尿潜血(+)の場合、さらに尿沈渣検査によって、本当に赤血球が尿中に出ているのか確認します。顕微鏡の400倍で検鏡し、毎視野赤血球5個以上の時、病的血尿として精密検査が必要になります。血尿には、自分の目で分かる血尿(肉眼的血尿)と、目で確認できない血尿(顕微鏡的血尿)があります。肉眼的血尿の3分の1は膀胱炎、3分の1は尿路結石であり、症状のない肉眼的血尿の原因は腎臓や尿路の悪性腫瘍の可能性があります。顕微鏡的血尿で蛋白尿を伴い、尿沈渣で円柱や赤血球の変形が見られた時は、慢性糸球体腎炎が考えられます。

 

肺機能検査

 GOT、GPTは肝細胞に含まれる酵素で、肝細胞が障害を受けると、血液中に遊出して、これらの値が上昇します。従って、血清GOT、GPTの増加は肝・胆道系疾患があることを意味します。GPTの方がGOTより肝臓に多く含まれており、肝障害の場合は通常GPT>GOTです。ただし、アルコール性肝障害や肝硬変、肝がんでは、GOT>GPTとなります。肥満や糖尿病などで脂肪肝となった時はGPT>GOTですが、アルコール性脂肪肝ではGOT>GPTとなることが多くなります。

 γ-GTPは、肝・胆道系疾患(胆石・胆のう炎、胆道がんなど)の診断に有用であり、特にアルコール性肝障害または飲酒の指標として利用されています。
 ALPは胆道系酵素とも呼ばれており、胆汁の流出が障害された時上昇します。また、骨の病気でも増加します

 

 

 


脂質検査

総コレステロールの増加は動脈硬化を引き起こし、特に冠状動脈の硬化が原因としておこる虚血性心疾患(狭心症、心筋梗塞)の重大な危険因子となっています。血液中のコレステロールは約60%が肝臓などで合成されたもので、残り40%が食物から摂取されたものです。

従来は総コレステロール260mg/dl以上が薬物療法の適応でしたが、1997年日本動脈硬化学科のガイドラインによると冠動脈疾患がなく、かつ高コレステロール血症以外の動脈硬化危険因子がなくとも総コレステロール240mg/dl以上なら薬物療法をすべきと基準が厳しくなりました。
 HDLコレステロールは動脈硬化を予防すると考えられており、39mg/dl以下の値は異常です。以前は高ければ高いほど良いと考えられていましたが、現在は100mg/dl以上の高値になると、やはり動脈硬化の原因になると考えられます。
 中性脂肪は増加しても直接血管内膜に付着しても動脈硬化の原因になるのではなく、HDLコレステロールを低下させることで、間接的に動脈硬化を促進させる因子と考えられています。

    
新ガイドラインで設定されたスクリーニングのための判断基準値

 
新ガイドライン案値
原稿値(参考)
総コレステロール
(TC)
高TC血症
境界域高TC血症
≧240
≧220
≧220
≧200
LDL-コレステロール
(LDL-C)

高LDL-C血症
境界域高LDL-C血症

≧160
≧140
≧140
≧120
HDL-コレステロール
(HDL-C)
低HDL-C血症
<  40
<  40
中性脂肪
(TG)
高TG血症
≧150
≧150


腎機能検査

尿素窒素、クレアチニン、尿酸の3つは腎機能を評価できる指標ですが、これらはいずれも腎不全(血中の老廃物が濾過できなくなった状態)になって初めて増加します。従って、これらの値が正常であっても、本当に腎機能が正常であるかどうかは評価できません。本当の腎機能検査はクレアチニンクリアランス(500mlの水を飲んで2時間かけて採血・採尿してそれぞれのクレアニチン値を調べる)が必要です。この3つの指標の中で、最も重要なものはクレアチニンです。尿素窒素は絶食、消化管出血などでも上昇します。

 

血糖検査

正常値は空腹時で60〜109mg/dl(血漿)であり、空腹時血糖が126mg/dl以上か随時血糖値が200mg/dl以上の場合、糖尿病と診断されます。
空腹時で110〜125mg/dlの時には、75g糖負荷試験が必要です。


 

尿酸検査

尿酸はプリン体を多く含む植物(レバー、ひもの、肉、魚など)を過食すると上昇します。また、尿酸は痛風患者で増加し、尿酸が8.0mg/dl以上になったら治療が必要です。

 

血球数検査

1)赤血球数
@貧血の場合、重要なのはヘモグロビン値です。成人の男性の場合はヘモグロビン値は変動の幅が狭い。月経のある女性は出血量、食事内容などにより個人差が大きい。日常生活ではヘモグロビン11.0g/dl 以上あれば、ほとんど支障はありません。しかし、血清鉄やフェリチン(貯蔵鉄)の低下が明らかであれば、鉄欠乏性貧血ですので、鉄剤の服用をお勧めします。普段よくみられる貧血は鉄欠乏性貧血ですが、原因を調べることが大事です。成人男性でこのタイプの貧血がみられたら、消化管の癌と痔を考えなくてはなりません。

A多血症の場合、ヘモグロビン値よりもヘマトクリット値が重要な指標となります。ヘマトクリット値が54%以上の場合を多血症と言います。多血症には3種類ありますが、よくみられるのはストレス多血症です。肥満体の中年男性で、かつ喫煙者によくみられます。血液粘度が増加して血栓を作りやすくなるため、普段から脱水状態にならないように十分な水分補給が必要です。

    
2)白血球数
 白血球は3000〜9000/μl が正常ですが、普段から2000代くらい、あるいは10000〜11000/μl ほどで推移している方もいます。あまり変動なければ精密検査は不要ですが、徐々に減少あるいは増加傾向がある方は精密検査が必要です。
    

3)血小板数
 血小板は出血を止めるために必要な成分です。10万/μl 以上であれば正常です。3万/μl 以下になると自然に皮下出血や鼻血、歯肉出血が現れます。また、肝臓病の病勢を表す指標にもなっています。(病勢が進むと血小板は低下する)