司会 討論に入る前にまずメタボリックシンドロームのメタボリックとは何か、シンドロームとは何かということを加計先生から教えていただきます。
加計氏 なんとかシンドロームと言う言葉を耳にする機会が多いと思いますが、メタボリックシンドロームというのは、本来は一つの病気を表したのもとしてとらえるべきではないと私は考えています。胃癌、胃潰瘍、心筋梗塞等はその病名と病気の原因というものがしっかりさだまっていて、非常にわかりやすい表現として使われています。しかし、メタボリックシンドロームは、いくつかの危険因子、糖尿病、高血圧、高脂血症、内臓脂肪等が集まった状態の概念としてとらえるというところが他の疾患と少し違うところであります。歴史的には昔からこういう症候群がありそうだということは気づかれていました。内臓脂肪症候群とか死の四重奏(デッドリーカルテット)とかという曖昧な表現で使っていました。糖尿病、高血圧、高脂血症等が一人の人に集積して発症しやすく、そういう人は動脈硬化症等になりやすいということが言われていました。そこで全世界的に一つの概念としてまとめようという動きがありメタボリックシンドロームという呼び方で統一されるようになったわけです。日本語に訳すと代謝症候群ということになります。代謝とは身体の中の食事・運動などでエネルギーを正しく取り入れ、正しく使用するという意味等をまとめて代謝という言い方をします。主な原因になっているのが内臓脂肪で、内臓脂肪がたまることが代謝異常の原因になっていてメタボリックシンドロームと呼ばれるようになりました。これは日本から発信された概念で、世界的にこの疾患群を減らしていこうということでメタボリックシンドロームというのができた訳です。
質問C 2月6日の新聞にメタボリックシンドロームやその予備軍を見つけるため腹囲、血液中のLDLコレステロール、尿酸値、ヘモグロビンA1Cなどが必須の検査項目となると報道されていたが、これらの検査は大きな病院でなくともかかりつけ医で出来ることなのか、また検査料はどれくらいか。
福島会長 検査はもちろん内科系のかかりつけ医でできます。検査料は、ヘモグロビンA1Cは55点・550円、尿酸は11点・110円、LDL−CLは19点・190円ですが、尿酸とLDL−Cだけを検査する事はなく、総コレステロール、中性脂肪と一緒に検査します。メタボリックシンドロームを考えている場合は、肥満に伴う肝機能障害も有していることがあるので、一般的には生化学検査としてまとめて行います。これらの検査は保険点数で決められているため、検査項目がいくら多くなっても最高で130点・1,300円それに判断料として155点・1,550円、初診料270点・2,700円かかります。合計すると約610点・6,100円になります。従って保健無しの場合は6,000円程度、3割負担で約1,800円、1割負担で約600円ということになります。
質問D 自分自身もメタボリックシンドロームと言われて、腰痛もあり、水の中での痩せる方法について伺いたいのですが。また、鼻の持病があり水が直接鼻に入ることはないのでしょうか。
原田氏 水中運動は潜りませんし、水泳ができない方も大丈夫です。
柴田氏 痛みがある場合は動かさない方がいいです。運動が全て良いわけではなくその状況に応じて変わってきます。怪我等で炎症・痛みがある場合は改善してから行った方がいいが、関節などの使い方が悪くて痛みがある場合は、痛みの原因となる使い方やフォームを直してから正確な動きを理解すること。痛いからといって全く運動しないと筋肉が落ちてくるため、痛みの加減により動かすことが大切だと思います。水の中の運動は浮力で負担がかからず楽で効果的です。またケースによっても違いがあるので、個々に合わせてプログラムを作った方がよい。水泳ができない方でも大丈夫です。
質問E 健康食品を1食分として飲んでいるが、1食分として扱ってもいいのか。薬・漢方薬について伺いたい。
峰松氏 健康食品はクスリと違います。薬は「医薬品」とラベルに書いてあり、区分を確かめることが大切です。健康食品には、国が認めた健康の補助機能や成分を審査して個々に許可を得た保健機能食品と、食品として成分のみ表示したいわゆる健康食品として販売されている食品扱いの物があり、これを食事代わりにとることは一般的にはありえません。薬が病気を治すのではなく、薬は皆さんの身体にそなわって回復する力を補助するもので、薬にだけ頼ってはいけません。したがって、主治医からの生活の指導や指示をよく守り、養生とともに正しく薬を使うことが大切です。
漢方薬も同様に、ひとり一人にそなわっている回復する力を見つけ処方されるもので、見かけの症状だけで用いるものではありません。そのために、たくさんの種類があり。専門の医師、薬剤師に相談して選んでいただくことが大切です。
質問F ウォーキングは体力的に無理があり、自転車に乗っているがこれは運動の一つになるのでしょうか。
柴田氏 自転車は良い運動だと思います。運動量の調整ができ、一定の運動で、急激な負荷がかからずに心肺機能をきたえられます。ロードを走る時は、初心者は平坦なコースから始め、だんだんアップダウンなコースヘと進むようにしましょう。家庭用のエアロバイク等で運動量を調節することもお勧めします。
司会 メタボリックシンドロームは自分で管理出来る疾患、管理しなければならない疾患であるということを越村先生が話しました。しかし、市民の皆様は薬でコントロールしながら、好きな物を食べ、テレビを見ている方が楽だと考えることが多いのではないでしょうか。またそれを求めて診察に来るという方も多分いると思います。この考えについていかがでしょうか。
越村氏 内臓脂肪をいくら食べてもたまらなくするという薬は現在ないのですが、その結果として現れている高血圧や糖尿病や高脂血症の薬は何種類かあります。しかし、そこだけを治しても、内臓脂肪は押さえられないので、メタボリヅクシンドロームのリスクをとりさることにはならない。内臓脂肪を取り除く薬が出来るかどうかは不明であるが、しかし、現代の飽食の食生活で薬で解決できるのかと考えると私はできないのではないかと考えています。
質問G 甘い物を控えさせる方法、代替えになる食品があるのであれば伺いたのですが。
栗田氏 甘い物が全般にいけない訳ではなく、食べている量に問題があるので、大福3個を2個または1個にするということはその方の状態に合わせて減らし、また内臓脂肪があり滅らそうと思うのであれば、小さめのサイズで3個または、大福ではなく甘い物の中でカロリーの低いものを食べるということも一つの提案です。全然食べないということはそれ自体がストレスになるので、夕食の前にゆっくり味わって食べることを勧めます。
峰松氏 日本大学薬学部の棒葉先生の研究によると、体内に脂肪を蓄積する蛋白質のうちあるものは、夜間の午後10時頃から午前2時頃に、昼3時頃の20倍にも増えることが分かっています。したがって、食べ物や甘い物は、夜10時以降はとらないことも太らない工夫の一つです。昔から「3時のおやつ」といいますから、理にかなった「おやつ」のとり方です、ただし、食べ過ぎには注意しましょう。
柴田氏 「あまり喰べるな」というとストレスがたまるので、食べていいと思いますが、運動をすることを勧めます。楽して痩せる方法はありません。
質問H ウォーキングの時間の理想的な時間帯はいつでしょうか。
柴田氏 運動する時間は食後すぐ以外は、いつでもいいが、健康な人の場合で痩せたい方は、食事の前に運動した方が早く脂肪を燃焼することができるので朝食前が一番いいかと思います。生活習慣病などリスクを持っている人は一概にいえません。朝食前は避けましょう。
質問I 成人の場合野菜の必要量一日350gという話をテレビで見ましたが、農薬・添加物を含めて伺います。
栗田氏 身体の調子を整えると言う意味ではそれくらいの量は必要ですが、農薬等の問題がでていますのでよく洗うとか、無農薬の食品を自分で選択する時代になってきていると思います。食材については厳選していただきたい。また、野菜は旬の物とそうでない物では栄養価が違うので旬の物を取り入れるようにしていただきたい。
司会 メタボリックシンドロームは成人の病気ととらえがちですが、加計先生より秋田県は子供の肥満が増えているという報告がありました。そのことについて小山田先生よりお話を伺います。
小山田氏 秋田の子供の身長は日本で1番高いのですが、身長が一番伸びる時期に体重も一緒に増える傾向があり、背が高くて喜ばしいと思っていましたが、実は肥満も多いのではないかと警告を発していました。現実として肥満もきわめて多いということです。間題になるのが運動習慣です。小学生は学校の中で休み時間などよく動きますが、中学生はあまり動かない。大人であれば1日1万歩運動といいますが、児童生徒では1日2万歩運動を提唱しています。両親・家族が運動習慣を持っている子供はよく動くというデータもありますので、子供だけではなく家族のみなさんで考えていくことが大事だと思います。
質問J スポーツ後の食事・入浴について伺います。
柴田氏 空腹状態で運動した場合、後から食べた物はあまりたまらないと思いますが、食事の量は程々にした方がよい。痩せたい人は有酸素運動後に身体があたたまっている状態でぬるめのお風呂に入った方がより効果が高いです。
総合司会 例年にない活発な討論ありがとうございました。メタボリックシンドロームについて色々な面から理解できたのではないかと思います。長い時間ありがとうございました。