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<春夏秋冬>

発行日2004/05/10
鹿嶋医院  鹿嶋 雄治
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春を感じるとき
 
 年齢をかさねる毎に、冬場になると鬱々とした気分になり、この冬の寒さと雪をどう乗り切ろうかと考えてしまいます。生来ものぐさ人間の私にはこれといった趣味もなく、下手の横好きのゴルフが普段のストレスを発散する唯一の手段ですが(成績が悪いとかえってストレスになります)、当然のことのように積雪のある期間はお休みです。昨年の冬は、冬期間の体力の衰えを防ぐためにと、千秋公園の雪中散歩を思いつき、日曜の朝になると長靴を履いて、帽子と手袋で身を固め、吹雪以外の日はほとんど毎週出かけていました。人気が少なく、雪に埋もれた冬の千秋公園の静けさ、肌を刺す空気の冷たさのなかでの散歩は萎えた気分を引き締めてくれ、このお陰で、昨年はどうにか冬をやり過ごすことができました。
 今年は暖冬の影響で、千秋公園の積雪も少なかったため、屋内、屋外でのゴルフ練習に通いました。以前、練習場では若者の仲間同士やカップルが騒がしく練習している姿をよく目にしましたが、不況の影響なのか、あるいはゴルフというスポーツの特性からか、最近は、若い人達のゴルフ離れが顕著のようです。このため、冬場の練習場も中高年の方々ばかりが目につき、まるで老人クラブの様相を呈しています。なかには、私の診療所に高血圧で通院している患者さんも何人かいて、寒中練習に励む老年パワーに驚くとともに、「あの患者さん、血圧だいぶ上がっているだろうな」などと余計な心配をしながらのトレーニングでした。
 ここ数年、2月の末から3月になると、診療所にくる若者達の存在で春の訪れを感じています。それは、高卒や大卒予定の学生が就職や進学に必要な健康診断にやってくるからです。大部分は、小学生や中学生の頃から、風邪や腹痛で私の診療所に何回もかよっていた子供達で、「いつのまにこんなに大きくなったの!」、「もう就職する年(あるいは大学生)になったか!」などと、しばらく見ないあいだの心身両面の成長に驚く毎日です。小中学生の頃は、何を聞いても付き添いの母親が応えてばかりで、さっぱり要領の得なかった子供も、この年代になるとそれなりにきちんとするもので、単純脳細胞の私は、我が子のこと以上に喜んでしまい、ついつい学割と称して文書料をおまけしてあげて、いつも事務長(兼女房)に叱られてしまうのです。先日は特に嬉しい出来事がありました。高校を卒業したてのお嬢さんが、就職前の健康診断にやってきました。彼女の父親Kさんは、昨年、かなり進行した食道癌を私が診断し、手術をうけたものの、術後一年を経ずして亡くなってしまった方でした。彼には離婚歴があり、男手で彼女ら三人の子供達を育てていたようでした。先日の彼女の話では、この度、幸いに三人とも進学、就職と進路が決まったとのこと、きっとKさんも幽界で祝杯をあげていることでしょう。彼女に限らず、今春、進学や就職で社会に出る若い人達には、荒波に揉まれつつも、この困難な時代を逞しく生きていってほしいと思います。
 今後二年間は、会報担当になってしまいましたので、きっと季節のうつろいなどとは無縁の、重圧の中での生活になるだろうと考えています。このプレッシャーを少しでも凌ぐべく、新たな会報編集員を、犬上篤、平野勝介、阿部豊彦、鈴木裕之の各先生にお願いし、鈴木明子、後藤時子の両先生には定評ある筆力であと二年参加していただけることになりました。
 皆さんのご批判に耐えうる会報編集をめざしますので宜しくお願いします。


 
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