長年、個人で使用していたパソコンが不調、対症療法を施していたが、ついに余命間近と宣告し、事切れる前に新調することにした。いままで使っていたのは27型画面のデスクトップだったが、まずはノートパソコンを購入した。しばらくは小画面でも仕事はできており、省スペースにもだいぶ貢献していたが、マルチタスクは行いづらく、何よりやはり老眼にはきつかった。まずは、再び27インチのモニターを購入、接続し、ノートパソコンをデスクトップ化し、作業効率は大幅に向上した。 次にはノートパソコンの「ペチペチ」としたキーボードの感触に満足できなくなり、Bluetooth接続の無線キーボードの購入を検討した。そこでいろいろ調べるとパソコン用キーボードには実にたくさんの種類があることがわかった。 まずは「メンブレン式」。デスクトップパソコンに付属してくる大部分はこれである。キーの反発はドーム状のラバーキャップで入力の感知は、キーの下の一枚の基盤への接触によりなされる。非常に安価で種類も多く、もっとも数多く普及している。次は「パンタグラフ式」。薄型化に適しているためノートパソコンなどによく使われている。キーの構造、反発にX型のバネが使用されている。ストロークが短いので、打鍵感の好みは別れるだろう。「メカニカルキーボード」はキーの一個一個に独立してスイッチとバネが備わる構造で、戻りが早く、カチカチとした独特の打鍵感や音が特徴である。入力が迅速で正確なので、ゲーム用にも頻用されている。キーの軸にはクリック感が特徴の青軸、軽快な打ちごこちの赤軸、その中間的な茶軸など好みで選択が可能である。耐久性もあるが、構造は複雑でありやや高価になる。最も高価なキーボードは「静電容量無接点式」である。独立したキーであることはメカニカルと同様だが、入力のための物理的接点がない(詳しくはよくわからない・・・)ため、摩擦が少なく耐久性も高い。非常に滑らかで正確なタイピングが可能であり、全国の銀行の窓口業務ではこのタイプのキーボードが使われているという。打ち心地はマニアの間では「至福のタイピング」「蕩けるような打鍵感」などと評されている。 私が購入したのは赤軸のメカニカルキーボードである。開封しキーをたたいてみると、今までとは全く異なった打鍵感に驚いた。実に入力が心地よく、何かしら文字の入力を常にしたくなる欲求すら生じる。しばらく使用し、満足度は非常に高いが、はまり出すと、軸の変更など、キーのカスタマイズなどに凝り始める方も多いらしい。確かに他の軸の打ち心地はどうか、静電容量無接点式はどんな感覚なのか、など興味は尽きない。理想のキーボードを求めて、次々に購入してしまうことをキーボード沼と言うらしい。私も沼の淵くらいには足を踏み入れているのかもしれない。
|