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<春夏秋冬>

発行日2018/08/10
市立秋田総合病院  市川 喜一
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暑くて寒くて
 
  この数年間、夏の暑さは厳しさを増してきたが、今年は特別だ。西日本の集中豪雨で被害に遭われた方々に追い打ちをかけるがごとくのこの猛暑、西日本豪雨で被災された皆さんの心身を思うといたたまれなくなる。心からお見舞いを申し上げたい。そういえば、この数年間普通とはいいがたい夏・冬であった。昨夏は豪雨の後も雨が繰り返し、降水量が多かった。昨シーズンの冬は、全体としての積雪は少なかったものの短期間に一気に積もって、鳥取などの日本海側で交通障害などが発生した。2016年は7月が統計開始以来1位タイの高い月平均気温、8月は多くの台風が東北付近を通過。その前の冬、積雪は少ないがやはり短期間で大量の積雪を記録した。記憶に残る秋田の夏は、関東のそれと比べ日中は同じかやや涼しく、夜になると少し寒いくらい、同じく冬はほどほどの量の雪が静かに、持続的に降り続けていた、はずだ。どうしてこんなに気候が極端になってしまったのであろう、と思っていたところ、2016年8月にClimate Changeに発表された報告にでくわした。これは文部科学省「気候変動リスク情報創生プログラム」により気象庁気象研究所、東京大学、京都大学、国立環境研究所、筑波大学、海洋研究開発機構が共同で「地球温暖化対策に資するアンサンブル気候予測データベース(d4PDF)」を作成し、それを用いて日本とその周辺の日別降雪量の将来変化を予測したものである。これによると、現在よりも地球上の平均気温が3度以上高くなる状態(いわゆる地球温暖化状態)が続いた場合、冬期間の日本全体としての降雪量は減少するが、気温が摂氏0度以下となる本州や北海道の内陸部では10年に1度程度起こるような極端な降雪(いわゆるドカ雪)が増加するとのこと。掲載されている図では、この2・3年で実際に短期間大量降雪を経験している地域が、シミュレーションでも10年に1度の降雪の頻度が上がると予測されていた。つまり気候変動リスク(いわゆる地球温暖化)によって地球が暑くなるだけでなく、冬期間のドカ雪の原因ともなっていた、ということになる。なるほど、これで秋田の天気の変化も説明できる、とやや納得した。しかしこの地球温暖化のシナリオと異なった考え方も存在する。地球の気候は太陽の活動と連動しており、今後10年程度太陽の活動が減少するため寒冷化するというものである。あくまで仮説段階ではあるが、太陽活動減少に伴い地球に侵入する宇宙線が増加するのがその理由とされている。地球温暖化と寒冷化、どちらが正しいのかを見極めるために、少なくともあと数十年は生きていなければならないようだ。
 
 春夏秋冬 <暑くて寒くて> から