「朝ラン」をしています。朝ランとはその名の通り朝に走ること。はじめは歩いていたのですが、何となく走りだすようになるとこれがなかなか楽しいのです(楽しくなるまでにそれ相応の過程を要しましたが)。 朝から走るなんてとても活動的なようでいてそうでもありません。タンタンタンと足音の単調なリズムがまだ少し眠い頭に心地よく、電車に揺られてウトウトしているような気持ちです。 それにしても朝。月並みですが、空気がすがすがしく空が美しい。特に春の夜明けが「をかし」です。雄物川河口近くの堤防が私のランニングコースですが、太平山の東の向こうが朝日に染まり、周りがぐんぐん明るくなる時間。散歩をする人、連れられた犬も、ぼーっと見惚れています。こんな時思い出すのが遠い昔学校で習ったこれ。 「春はあけぼの。やうやう白くなりゆく山際少し明かりて紫立ちたる雲の細くたなびきたる。」まさにぴったりの描写だなあ…。 川もいいです。波が消えた静かな川面に空が映る光景もをかし。風の強い日にさざ波が立つのもをかし。 トリもたくさんいます。いつもつがいのセキレイ。ホケキョの練習をするうぐいす。カワラヒワ。かも。ウミネコ。冬には白鳥の群れがV字になって飛んで行くのを下から見上げるのがをかしです。また他の野鳥とはふた味違った色合いと大きさのキジ。ケンケンと喧しく縄張りを主張する割には人を見るとそそくさと逃げる様子、これはむしろ何だか可笑しいです。 そしてランニングはなんといっても速い!のがいいですね。私ごときでも歩く2倍以上のスピードなので、同じ時間で結構遠くまで出かけられます。時々違う川にも行きます。太平川、草生津川や旭川など。特に太平川沿いは小学校のマラソン大会のコースになっていた場所。ウン十年してまた走っているなんて懐かしさひとしおです。桜の並木も美しい。ヒヨドリが花見をしながら花を食しています。 ささやかすぎる朝の楽しみ、ちょっと挙げてみましたが、これからの季節、朝ランは楽しいばかりではありません。同じ時刻に外に出ても、もう美しい朝焼けは終わっています。木々の緑も眩しいですが、それ以上に眩しく照りつける日差し。遮るもののない堤防の道。清少納言なら「わろし」「すさまじ」とのたまうでしょうか。 「夏は夜。月のころは更なり。闇もなほ、蛍の多く飛び違いたる。また、ただ一つ二つなど、ほのかにうち光りて行くもをかし。雨など降るもをかし。」 蛍には出会うのは無理そうですが、月あり星あり、遠くに街の灯りあり。お薦めの通り?夏は夜ランを楽しむのが風流かもしれません。
|