先日、平成25年に起きた「三鷹ストーカー女子高生殺人事件」の被告(24歳)に懲役22年の判決が下され確定した。被害者のご両親は、愛娘(当時17歳)を奪われた無念さと共にこうコメントした。「刑が軽すぎる!! 司法の判断は、普通の人の良識とかけ離れている。」私も同感である。皆様は日本の刑法についてどの様にお考えでしょう? 日本の刑法では重い順に「死刑」、「無期懲役刑」、「有期懲役もしくは禁固刑」であることは皆様ご存じの通りである。無期懲役であっても仮釈放制度があり、社会復帰の可能性が全くない絶対的無期刑(いわゆる終身刑)が現行制度に存在しないのもご存じであろう。現在の刑法は明治40年に発令され100年以上経過した現在まで上記の様な凶悪犯罪に対する大きな改正はない。有期懲役の最長は原則として20年(加重した場合は30年)である。つい10年程前までは最長15年(加重した場合は20年)であった。法律上は無期懲役でも10年を経過、有期刑では刑期の3分の1を経過すれば仮釈放が認められる。(ただし実際には無期で25年、有期で刑期の7割以上でないと認められない事例が多い) 現行刑法が発令された明治40年の日本人の平均寿命は約45歳であった。刑務所内の生活環境は劣悪であり、特に食事は「クサイ飯」と揶揄されることからも想像が付く。仮にその時代30歳で凶悪犯罪を起こし、当時の最長20年の懲役刑を受けた場合50歳で出所することになる。平均寿命が45歳、劣悪な環境で20年暮らしたら出所時には心身共に衰弱しており、懲役20年は重刑だったと理解出来る。現在では管理栄養士が1日約2500Kcalに計算したバランスのとれた食事が提供されている。規則正しい生活、適度な運動、必要であれば医療も受けられる。一般人よりも建前上は健全な生活を送っている様に思える。冒頭の被告は24歳、懲役22年を満期受刑して46歳で出所である。その後約40年を社会で過ごすことになる。このような比較をすると「刑が軽すぎる!!」とのコメントに共感しませんか? 命を奪われることは残りの人生を奪われることになる。平均寿命を考えると100年前と比べ遥かにその期間が長くなっている。その分ご遺族達が悲しみ憎む期間も長くなる。「普通の人の良識」とは「懲役刑」による償いの整合性にあるのではないだろうか。人を裁くことには、数学や物理のように絶対的正解がある訳ではないが、せめて相対的理解が求められる。それには時代の変化に柔軟に対応するべきであろう。「死刑」に賛成反対は別として「絶対的無期懲役刑」(終身刑)の制定、あるいは「有期懲役」の刑期延長(40~50年)が必要だと思いませんか?
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