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<ペンリレー>

発行日2023/01/10
秋田赤十字病院  衛藤  武
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秋田県の道の駅で魅力を知る。
 
 平素よりお世話になっております。秋田赤十字病院消化器内科の衛藤武と申します。大学入学と同時に秋田にきて20年以上となり、すでに生まれ故郷の福岡県より秋田県で過ごした年月の方が長くなってきておりますが、まだまだ秋田を知り尽くしたとはいえず、日々魅力を再発見する毎日です。
 皆さんの中にも他県から来られた方は多いと思います。患者さんとの診療のなかでいろいろな地方のお話がでてくると思いますが、方言の問題もあり、ぴんと来ないことも多いと思います。長く秋田県での診療を続けていくうえで、県内の各地方の魅力を知ることは強い力となるでしょう。
 秋田の各地方の魅力を知るには、その地方に直接行き、その地方独自の名産品をみて、食べ、魅力を実感するのが一番です。しかし、秋田県は案外に広く、実際に体験するとなればなかなかに大変で、どこから行けばいいのか迷うことでしょう。そこで私のおすすめは、県内各地にある道の駅を巡ることです。その地方の魅力やウリがぎゅっと詰まっているのが道の駅というものです。しかし、県内には33か所の大小の道の駅が広く散らばっており、一日で全てを巡るのはとても無理な所業です。市販されているスタンプラリーのために私が県中を周った時には3日はかかりました。そんな無駄な休日の過ごし方をするよりも、何か目的をもって数か所の道の駅をはしごする方が絶対に楽しいです。
 最初に初心者にお勧めするのは、大きくて広い敷地に様々な施設をそろえたあきた港、てんのう、象潟の道の駅あたりでしょうか。温泉もあり、物産館で農産物やお土産も多数販売しており、ご家族で訪れる人が多い大変都会的な道の駅です。まずはこういった大きなところで道の駅ってこんなものなんだ、と大まかに慣れていただくのがよいでしょう。ここだけで休日を過ごすこともできますが、あまり大きくて地方色がうすいため、慣れてきたらもっと小さな道の駅に目を向けていきましょう。
 いくつか私のおすすめの道の駅を紹介させていただきます。まずは秋田市から北に進むルート。能代方面に向かうルートです。途中にしょうわ、ことおかなどの道の駅があります。しょうわの道の駅はブルーメッセ秋田の名で有名で、シクラメンなどのフェアをよく行っています。ここで売っているリンゴのケーキがおすすめです。手作り感が強く、素朴で甘くておいしいです。レストランにはお持ち帰りのピザもあります。季節ごとの限定品、今ならリンゴのピザが販売中です。お土産や差し入れにもおすすめです。そのほかにも全国各地の道の駅の特産品を販売しており、敷地は狭くとも秋田市から近いこともあり、満足感の高い道の駅です。ことおかの道の駅も小さいですが、レストランのジャンボエビフライが有名です。冷凍のことおか餃子も売っております。そら豆から作った豆板醤が練りこんであり、タレなしでおいしく食べられます。肉汁たっぷりですので、たくさんの千切りキャベツと一緒に召し上がるのがおすすめです。さらに北に北にと進めばはちもりの道の駅があり、八森産のフグのから揚げなどが食べられますが、かなり遠いので覚悟して進みましょう。
 ことおかから西にまっすぐ進むとおおがたの道の駅があります。ここはかなり大きく、秋田土産や地元の農産物などが大量に売られております。ちょっと珍しいお酒なども売っております。おすすめは男鹿の国産ハチミツです。よくあるトチやアカシアだけでなく、イタチハギなど珍しい種類もあります。すっきりした味わいで自宅用にもお土産用にもぴったりです。ご家族と一緒に行くのもよいでしょう。
 能代から東に進むと、ふたつい、たかのすなどの道の駅があります。ふたついは2018年にリニューアルしたおしゃれな道の駅です。白神ネギなどの農産物のほか、木工品やクッキー、ケーキなども販売しております。家族連れやカップルで訪れる人も多い若者にお勧めのスポットです。さらに東に進むとたかのすの道の駅があります。ギネスにものった大太鼓があり、その名にちなんだ大太鼓饅頭は目の前で作った出来立てを直で販売しており、熱々をそのまま買うことができます。日持ちのする真空パックもあり、お土産に最適です。農産物も豊富にあり、マタギのハチミツや黒ニンニク、ししとうを使ったカレーやチョコなど、珍しい商品も販売しており、私の一番好きな道の駅です。
 たかのすからさらにずっと進めばひない、さらにさらに進むと、こさか七滝の道の駅があります。ひないの道の駅はその名の通り比内地鶏が有名ですが、思ったより小さい道の駅です。食堂では比内地鶏を使ったメニューがあり、物産館では比内地鶏の卵や、卵を使ったソフトクリームを販売しております。さらに、周辺には超有名ラーメン店桜木屋があるほか、中山なし街道として道路につらなって農園直営のフルーツ販売所があり、季節のフルーツが販売されております。なしやリンゴ、ぶどうなどのほか、西洋梨も売られております。これが本当においしく、和なしに桃の味と食感を合わせたような、桃源郷で仙人が食べてそうな、えもいわれぬ美味しさです。秋田に来たからにはぜひともお試しいただきたいお味です。こさか七滝は青森の県境近くの山の中にあり、地元の山ブドウを使ったワインを作る小坂七滝ワイナリーが隣にあります。ワイナリーの見学もでき、まとめ買いしていくファンも多いとのことです。ジュースのように飲みやすいワインもありますので、お酒が苦手な方にも安心です。ここでも国産ハチミツが売られております。あまり知られておりませんが、秋田はハチミツやフルーツが大変おいしいので、県としてもぜひ売り出していくことをお勧めしたいです。
 南に行くルートでは、十文字の道の駅がおすすめです。ブランド卵黄身の余韻は卵嫌いでなければ一度は食べていただきたい一品です。香りが強く、卵かけご飯がおすすめです。ここまでくれば増田町まで足を伸ばし、まんさくの花で有名な日の丸酒造を見学したり、まんが美術館を見てみたりするのもよいでしょう。さらに進んでうごの道の駅で西馬音内そばを食べたり、おがちの道の駅で菅前首相のグッズを買ったりもいいでしょう。海岸沿いに車を走らせ、岩城の道の駅で海産物を食べ、おおうちの道の駅で大内とろろ飯を食べるのもよいでしょう。
 軽く紹介してきましたが、名前を出していない道の駅にもそれぞれ魅力があります。日本酒が好きであれば、協和の千代緑、なかせんの秀よし、かみおかには福乃友、十文字にはまんさくの花で有名な日の丸酒造、さんないには山内杜氏、おがちには福小町、東由利にはNHKで放送もされた雪の茅舎の酒造があります。他にもはハチミツやフルーツ、グルメを求めて各地の道の駅を探してみるのもよいでしょう。
 秋田中の道の駅を巡り、地域ごとの特色を知ったころ、気づいた時には秋田の地方の魅力に取りつかれていることでしょう。患者さんとのコミュニケーションツールにもなりますが、秋田を好きになり、県外の先生方、県内出身の先生方も、長く秋田での診療を続けられるモチベーションの一助となればこれに勝ることはありません。
 
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