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<ペンリレー>

発行日2022/05/10
耳鼻咽喉科おのば能登医院  能登 弘毅
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犬のいる生活
 
 我が家では結婚以来、一時期を除いて犬と一緒の生活を送ってきました。あるときは種類の異なる犬を4匹同時に飼っていたときもありました。これは幼い頃から動物に慣れ親しんできたカミさんの影響が大きかったと思いますが、家族5人、犬4匹、今思うとよく生活していたと思います。そのためか子供たちも犬のいる生活がごく当たり前のように育ってきましたが、子供たちの中に猫や犬のアレルギーがあるとわかったのはだいぶたってからでした。
 犬を飼うときは希望の犬種を探すことから始まりますが、動物愛護法では生後56日未満での売買禁止や、販売者は購入者に対して現物確認と対面説明が義務づけられており、インターネットでの売買はできなくなっています。気に入った犬がいれば日本中どこでも出かける覚悟が必要というのは大げさでしょうか。譲渡会を利用する方法もありますが、我が家では利用したことがないのでなんとも言えません。
 覚悟と言えば犬を育てるのは子供を1人育てるのと同じ覚悟がいると言われますが、まさにその通りで小さい時は食事(離乳食)に始まって、排泄の世話としつけ、健康診断、予防接種、お散歩デビューなど、大きくなっても健康管理や予防接種は欠かせません。
 さて、我が家ですが、2018年から2021年にかけてそれまで一緒に暮らしてきた3匹の犬たちが病を得て相次いで亡くなり、残るは1羽のボタンインコのみとなりました。看病中の様子は当時のことを思い出してしまうのでここでは書けませんが、かたづけられた犬たちのスペースの広かったことに気づかされ、大きな喪失感の中で暮らしていました。新型コロナ感染の拡大により、もともと出不精(デブ症とも言う)でしたが、さらに自宅にいる時間が増え、また犬を飼いたいねというようになりました。室内犬の需要が全国的に高まったのはよくわかります。カミさんと相談して自分たちの歳や体力を考え、飼うとしたら1匹で犬種はラブラドールレトリバーとしました。先代のラブラドールレトリバーが大変賢くて穏やかな性格だったので、高齢夫婦の癒やしとなってくれることを期待して同じブリーダーへ女の子の子犬譲渡の予約を申し込みました。女の子の希望は多く、またいつでも子犬がいるわけでもないので待つこと数ヶ月、やっと出産の連絡が入りました。受け取りは生後56日以降なので、問題は新型コロナ感染の拡大状況でした。受け取りの時期に感染拡大していれば簡単には行けないし、ましてや感染した日には目も当てられないことになる可能性があります。しかし、このとき奇跡的に感染の波が収まり、東京でも新規感染者が激減してきました。おかげで無事、子犬をブリーダーのところまで迎えに行くことができました。
 ブリーダーの元には来訪者に喜んでしっぽを振って走り回る子と、騒がず寝ているこの2匹の女の子がいましたが、おとなしそうな子を連れて戻りました。途中、周りの人にケージの中であまりおとなしいので病気ですかと心配される始末でした。
 我が家に着いたとき、生後2ヵ月で体重は6.4㎏でした。その1ヵ月後には10.2㎏、2ヵ月後に15.5㎏に、その後週に約1㎏のペースで体重は増え、最近はそのペースは落ちましたが、生後半年で23.4kgにまで増えました。はじめはよちよち歩きでちょっと走るとバランスを崩してコケたりしていたのが、最近は走り回ると弾丸のようで、まともにぶつかるとこっちが怪我しそうな勢いです。体はすくすく大きくなっていますが、やることはまだ子犬で、とりあえず何でも噛みまくり、引っ張りっこをしたがります。さらに追いかけっこをしようとするのか洗ったばかりの洗濯物など、追いかけてきそうなものをくわえて逃げます。おもちゃを与えても、おもちゃを噛んでいるふりをしてテーブルの脚、床、壁(どうやったらこうなる?)をがりがり噛んでいたり、目が離せないのは人間の子供と一緒です。
 犬は社会性の高い動物として知られていますが、母親や群れの中での生活がその成長に大きく影響します。母親から早く引き離されたり、一人っ子のようにちやほやされるとわがままな性格になるようです。以前、多頭飼育していた時は犬同士での遊び方やルールのようなものがあったのか、みんな穏やかで多頭飼育の良い点だったと思います。
 初めての外出は獣医さんでの予防接種でした。まず玄関から出たがらない、車に乗ろうとしない、乗ったら降りようとしない、そのくせ獣医さんや動物看護師の皆さんには愛想よくしっぽは振り放題で「かわいいね~、おりこうさんだね~」などとちやほやされて喜んでいるのはお決まりの行動です。帰りは同じパターンで何とか家に帰ってきました。その後も何度か車に慣れさせようとしますが、車中では必ず誰かにしがみついて、車はまだ怖いようです。外に出ることは少しずつ慣れてきたようで、雪の積もった庭は気に入った遊び場になりました。鼻先から頭を雪の中に突っ込んでグリグリ進んでいく様子は先代のビーグルがよくやっていた遊び方です。お散歩デビューは先代の犬たちが慣れ親しんだ川べりの道で、今はゆっくり歩かせるのが一苦労です。桜が咲く頃にはなんとかなるか、こっちの足腰が心配です。この道を歩いていると、砂利道やマンホールなどの鉄板など触感の悪い道を避けていた先代ラブラドール(この子もマンホールの上は歩きません)、家から出てしばらくは歩かずだっこされていた先代ビーグル、いろいろなアレルギーがあり散歩中にくしゃみ連発で地面に鼻をぶつけて鼻血を出してすぐ帰ってきたコーギーなど散歩のエピソードを思い出します。この子はどんな思い出を残してくれるのか楽しみでもあり心配でもあります。
 犬の成長は人間の5倍とも言われていますが、その時々の表情、仕草はあっという間に変わっていきます。いつになったら癒やしの相手になってくれるかわかりませんが、やがてその日が来ることを楽しみに一緒に暮らしていこうな。

 次回のペンリレーは、仕事でも佐藤典子先生からのりこ皮ふ科を引き継がれた千葉貴人先生にお願いしました。
 
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