トップ会長挨拶医師会事業計画活動内容医師会報地域包括ケア介護保険について月間行事予定医療を考える集い学校保健関連

<ペンリレー>

発行日2021/11/10
高橋内科医院  津谷 裕之
リストに戻る
やる気スイッチ
 
 大場貴喜先生から無理やりバトンを渡されました。高橋内科医院の津谷裕之と申します。大場先生とは、大学病院第二内科勤務時代一緒に仕事をさせていただきました。自分は秋田生まれの秋田育ちですが、大場先生は都会育ちでしたので、私とはやや違った感性を持っていました。数年年上なだけの自分ですが、社会人になりたての大場先生に、今どきの若いもんは…、などと年寄り風を吹かせながら説教ばかりしていたことを懐かしく思い出します。大場先生は、お酒はあまり得意ではなさそうでしたが、ビートルズの歌い手として、夜も力を発揮していました。酒を飲むのも大事だから、まずは養命酒から始めろ、と指導したことは、今でも鮮明に覚えています。どのような修行を積んだのか、数年前、久しぶりに夜の会で一緒になった時、普通にビールを飲んでいるのを目撃しました。なんだか感慨深かったです。そんな大場先生が広面に開業され、おお、と思っているうち、なんと自分も桜で開業することになってしまいました。今度、偵察がてら城東内科を受診したいと思っています(健診に行きます!)。
 医者になり早25年が過ぎました。いろいろな方に出会い、教えを受け今の自分がありますが、自分は何とも巡り合わせがよく、素敵な先輩方にやさしく育てていただいたなあと感じています。そして、性格もあって、流れのままにのんびりと生きてきました。出る杭は打たれる、と言いますが、自分の場合、出ることもなかったので打たれませんでした。ケンカは苦手であり、ほとんど人とケンカしたことはありません。それはそれでいいのですが、闘争心がまるでないために、這い上がっていく気概、自分を成長させていく魂、などが感じられることもなく、ただのダメ人間になってしまったことをとても反省しています。医者になりたての頃、20代、30代の上司の先生方は、やる気に満ち溢れ、時にはケンカも辞さないガッツがあり、キラキラ輝いて見えました。40代、50代という年齢は、疲れが見え始め、時代遅れな感じに思えていたものです。現在は、50過ぎでもバリバリやっておられる先生方が多いですが、なぜ皆さん、そのように若々しいのでしょう。自分は、すっかり年寄りくさくなり、まさに昔自分が感じていた時代遅れな医者になってしまっています。
 思うに自分の問題点は、やる気のなさとあきらめの早さです。昔から、根はまじめで素直な性格の私は、何をやってもそこそこできました。なんとなくできるけれど、興味や真剣みがないものだから、なんとなくで終わってしまう。深みがない。そしてあきらめが早い…。口癖は、「面倒くさい」「ま、いっか」。それがたたって、今いよいよ時代から取り残されようとしています。スマホは使いこなせず、インターネットも苦手。いまだにzoomの使い方もよくわかりません。特殊詐欺にはあっという間にひっかかりそうです。そんな自分に、興味をもて、やる気を出せ、と叱咤激励し、なんとかここまで導いてくれたのは、我が妻でありました。そして、50歳になる私のやる気スイッチを押してくれ、なんと、この度開業(承継ですが)の運びとなったわけであります。
 もともとケンカだけでなく、恋愛も苦手で、夢見がちな少女のような体質でしたが、偶然結婚はすることができました。何事にもあまり興味を抱かない性格のため、子育てにもあまり興味はなく、妻には多大な迷惑、苦労をかけてきました。本来ならケンカ三昧となりそうですが、幸いなことにケンカはできない性格のため、自分が非を認め、怒りを鎮めてもらいこれまで何とか過ごしてまいりました。こんな自分を飽きずに面倒見てくれるなんて、なかなか我慢強い人だと思います。そして、この私にちょっぴりやる気を出させてくれたのです。本当に感謝しています。開業にあたり、数年先に開業している同期の者に、うまくやっていく秘訣は何だと尋ねたところ、奥さんの言うことを聞くことだ、との返答でした。もとより十二分に言うことを聞いている、と答えたところ、それならもう8割方うまくいったようなもんだ、とのお墨付きをいただきました。
 勤務医から開業医となって、家にいる時間、妻と一緒にいる時間が格段に多くなりました。四六時中見張られている感じで息苦しいところもありますが、尻を叩かれたい体質の私にとっては、意外といいことなのかもしれません。今までの最大の楽しみであったこっそり飲み会はコロナ禍に奪われ、今は、妻の機嫌を取るために自分に何ができるか考えることに生きがいを見出しています(考えるだけでなく、やれ、という話ですが…)。患者のために、なんて格好のいいことを言って仕事に逃げてばかりで、妻のために、はこれまで何もしてきませんでした。経営が順調になった暁には、これまで苦労をかけてきた妻に、なんとか楽をさせてあげたいと思っている今日この頃です。あふれんばかりの愛で、妻孝行に励みたいと思います。残念ながら、経営はまだ順調とは言えませんので、皆様からの応援を、どうぞよろしくお願い致します。
 次回は、仁井田の、いとう内科消化器内科クリニック、伊藤紘朗先生にお願いしました。中学校の同期生です。すらりと背の高い美男子で、当時、いとひゃんと呼ばれ人気者でした。医師会名簿を見たら、なんと、、おんなじ誕生日じゃないですか!!もしかして、日々私と同じ運勢?!他の同期の先生方に次々と依頼を断られる中、伊藤先生には快く引き受けていただきました。有難うございました。
 
 ペンリレー <やる気スイッチ> から