前回の富田崇志先生のペンリレーを読み、わが家も子供と一緒に(と言うより、むしろ親の自分の方が)絵本を楽しんでいた時期もあったなあ、と大変懐かしく思いました。富田先生のNo.1である「けんちゃんとねこはかせ」はいったいどんな絵本なのかとても気になります。絵本を紛失されて残念なお気持ちもとてもよく分かります。 自分も子供の頃に読んだ「やまんばとうしかた 」という絵本が、もしもいま手元にあったら読み直したいなと思います。ネットで検索すると同じタイトルのものはいくつかありますが、自分が読んだものと同じ絵本は見つけられませんでした。小さい頃この絵本を読み、鋭い牙の生え揃った、耳まで裂けた大きな口で、脂ののった大きな魚を横にくわえた山姥の顔のアップを見た時の衝撃や、牛方に騙されて何一つ口にできずひもじい思いのまま床について、煮え湯をかけられ断末魔の叫びをあげる山姥に激しく同情したのを今でも良く覚えています(牛方に同情するのではなく)。自分の子どもたちにも読ませたかったなぁ。 子供に読んであげた本の中で印象に残っているのは、「おっきょちゃんとかっぱ」です。おっきょちゃんという小さな女の子の体験するとっても不思議な出来事がテンポ良く描かれていて、降矢奈々(「ともだちや」なども描いています)の水彩の絵が物語の雰囲気にとてもよく合っています。 キャラクターのかわいらしさでは、島田ゆかの「バムとケロ」シリーズでしょうか。どのページも細部へのこだわりがあって何度見ても飽きません。 ちなみに、春から高2になる長女に「子供の頃読んだ絵本で一番印象に残っているのは?」とたずねたところ、「地獄っ!!」という返事が返ってきました。絵本というよりはいろんなお寺に所蔵されている地獄絵をまとめた本なのですが、読んだあとしばらくトラウマになったそうです。
話は変わりますが、自分は小さい頃からピアノが大好きで、今も自分にとって大事な息抜きの手段の一つとなっています。バッハも好きですし、モーツァルトもショパンもシューマンもリストもラフマニノフもスクリャービンもラヴェルも、いろんなピアノ曲が好きです。でもそんな中でシューベルトだけはどうしても弾きたいと思えませんでした。 「歌曲の王」とも言われているシューベルトは、古典派とロマン派の境目くらいに位置する人で、「魔王」「野ばら」「アヴェ・マリア」や交響曲「未完成」、ピアノ五重奏曲「鱒(ます)」などが有名です。以前はシューベルトといえば「とにかく長い、しつこい、小学校の校歌みたいなメロディー(←ソナタ13番とか)」と思っていましたが、最近になりそのしつこさがクセになってきました。具体的にいうとシューベルト最後のソナタ(第21番変ロ長調D960)なのですが、ピアノソナタなのに四楽章あって、しかも第一楽章だけで25分近くかかる曲で、朝出かける時に聴きながら通勤してると、クリニックで白衣に着替えてもまだ一楽章が終わらないくらいのとんでもない長さです。この、シューベルトが自分の死期を悟った時に作曲した、いつ終わるともなくどこまでも続くんじゃなかろうかと思うような音楽に魅力を感じるようになったのには、自分も本当にいい歳になってしまったものだなとつくづく思います。それにしても毎回この曲を聴くたびに「鉄腕アトム」の主題歌が頭をよぎるのは自分だけでしょうか?曲が始まって比較的すぐ(22小節目あたり)ですので、よかったらみなさんも聴いてみて下さい。個人的にはリヒテルの演奏がおすすめです。自分も死ぬまでに弾けるようになりたいなと思う曲ですが、果たして間に合うでしょうか!?
次は中学校の同級生時代からの長いお付き合いとなっている、秋田県立循環器・脳脊髄センターの佐々木正弘先生にお願いします。ペンリレーをお引き受けくださり本当に感謝しております。
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