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<ペンリレー>

発行日2010/01/10
市立秋田総合病院  福田 淳
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サッカーにけられた私
 
 8月の暑い某日、日本産科婦人科学会専門医試験の試験監督のため東京に行くこととなった。試験じゃ朝はやくから始まるため、前日に東京入りしたが、私はある意図をもって、一便早い飛行機に乗った。当日は土曜日でJリーグの試合がある日である。私は最近注目している川崎フロンターレの試合をみてみたいと、急遽、思い立ったのである。調べてみるとその日は東京FCとの多摩川クラシコがあるらしい。川崎のホームである等々力球技場への乗り継ぎを調べてみるとホテルから40分くらいで行けるようだ。こんなチャンスはめったにない。ホテルに着くと、早速、等々力球技場に向かう。当日、大きな花火大会があるらしく電車は浴衣姿の若者であふれている。そんな雑踏の中、中年のおじさんが一人、なんとなく居心地悪く電車に揺られる。等々力は思ったより田舎である。秋田市ぐらいか。駅から等々力球技場行きのバスに乗り、目的地に到着する。私の家の前の道路と同じぐらいのすごく細い道に停車場があり、本当にここなのか、という不安がつのる。しかし、そんな不安をかき消すように大きな声援が地響きとして聞こえてくる。何となく心を弾ませながら球場のほうに足早に歩をすすめる。入口付近は、伝統の、いや伝統になりつつある一戦の熱気にむせかえっている。出店が立ち並び、その先に受付がある。しかし、そこで何となく奇異な感じがした。券売り場ではなく、受付?券売り場はどこに?しかしいくら捜しても見つからない。やむなく受付に聞いてみる。「券売り場はどこですか?」受付の女の子:「本日、お陰さまで完売しております」と爽やかに、にこやかに笑顔を返す。何故笑顔なんだろう。何故「お陰さまで」なんだろう?普通「申し訳ありませんが、完売いたしました」とすまなそうに答えるのではないか。ここまで来て切符を買おうとして、売り切れという状況はどうみても可哀想な状況ではないのか。しかしそこで吠えてもしかたがなく、携帯ストラップを家のサッカー小僧のために1個買い、記念に球場の外塀をシャメでとり、声援を背に受けながら球場を後にした。試合開始30分前のことであった。この時、浦和レッズ以外でもJリーグの普通の試合で完売になることがあることを初めて知った。こうなったら、ホテルに戻ってテレビのBSで観るしかない。少なくとも後半戦は観れるはずである。しかし、行きはよいよい、帰りは怖いである。駅から等々力球技場のバスに乗るのは簡単だが、等々力球技場のバス停から目的の駅行きのバスに乗るのは意外に難しい。いかんせん試合が始まる前なので、帰り方向のバスは極めて少ない。何々駅行きというバスがきた、が、果たして正しいのかわからない。たぶん大丈夫という最も危ないカケにでた私だったが、こういう時は概ね裏目にでてしまう。40分以上も川崎の街中を揺られ、うつろな眼で街並みの喧騒を流していく。そして、やっとどこかわからない駅に着いた。そこから乗り継いで、重い足取りでホテルに着いたころには試合は既に終わっていた。その夜のスポーツニュースの解説では「今日の川崎FCと東京FCの多摩川クラシコは満員で、いい試合でしたね・・・」とのことであった。
 9月になり天皇杯の予選がはじまった。秋田代表のTDKは早々と負けてしまったが、秋田の八橋球技場で行われる3回戦で、順調にいくと浦和レッズが来秋することを私は知っていた。秋田で浦和レッズの試合をみることができるチャンスはめったにない。良い席を取るためには早めに切符を購入しなければならない。試しにインターネットを調べると、何とネットで購入可能であった。この時、八橋球技場に座席番号があることをはじめて知った。しかし、レッズ戦ともなるとやはり高い。あの八橋なのに4500円もする。しかしそれもやむなしと納得する。翌朝、妻が「大変よ・・・」と大きな声で私を呼んだ。何事かと聞いてみると「天皇杯2回戦で浦和が負けたとのことだった。」確かに想定外の大事件であった。あの浦和レッズが2回戦で松本山雅という読むことすらできないアマチュアのチームに負けてしまった。こんなことがあるのだろうか?こんなことがあるのなら私の息子のチームが秋田商業に勝ってもいいのではないか?ともあれ、貧乏性の私は4500円がもったいなく、当日八橋球技場に向かった。私と同じように浦和戦を想定して切符を買った人が相当数いるはずである。しかしである。両チームのサポーター以外、観客はほとんどいなかった。4500円の切符に記された座席番号がなんとも虚しい。全くどこでも座れるのである。同じころ、ラグビー場のほうから、大歓声が聞こえる。ハーフタイムにラグビー場に行ってみると、高校ラグビーの決勝が行われており、超満員であった。秋田県はサッカーよりラグビーなのである。
 来年はいよいよワールドカップである。来年こそ南アフリカヘ行くぞ、というのは無理な話だが、いずれはヨーロッパの本場のサッカーを肌で感じてみたいと願うこの頃である。
 サッカーに興味のある人でなければわからないようなマニアックでとりとめのない文章ですみませんでした。次のペンリレーは舞台を秋田市立総合病院から秋田組合総合病院へ移し、吉岡知巳先生にお願いしたいと思っています。乞うご期待!
 
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