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<ペンリレー>

発行日2009/10/10
長谷山内科医院  長谷山俊之
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二輪は楽し
 
 最近の御上の方針として、「在宅で診られる患者さんは、在宅で」と言うのがあるらしい。このため小生の院所でも、じわじわと在宅診療依頼が増えてきている。小生の考えとしては、同じ仕事をするなら何とか楽しくやりたいので、楽しくできる方法を考えてみた。と言っても難しいことを考えたわけではない。往診の行きしな帰りしなが面白くなるように、昔取った杵柄でバイク往診に行ってみようと。そういうわけで、小生とバイクの関わりについて、だらだらと思いつくまま書いてみようと思った。
 そもそも、うちの母親というのが、少々変わっていて、昔取った免許に自動二輪の限定解除がついていたのがよほど自慢らしく、実際はオートバイなど乗ったことがないくせに、ことある毎に「おまえは所詮免許無しだろ、私はハーレーでも乗れるんだ、お前もバイクの免許くらい早くとれ。」と宣っており、そう言われ続け多感な中学生時代を過ごした小生は、通っていた高校がバイクOKだったのをいい事に、16才になると原付免許を即取得した。免許取得直後の小生の愛車は姉が乗っていたヤマハパッソル。これに乗って気分だけは、探偵物語の松田優作(確かベスパに乗っていたと思う)になって、あちこち遊び回っていた。そうこうしている内、世間ではスクーターブームが始まりかけておりテレビでは渡辺貞夫がキャラクターに起用されたヤマハベルーガやピーター・フォンダのスズキジェンマ、正当派ホンダタクトがテレビコマーシャルを賑わしていた。そして、小生が高校2年の頃、親父殿が突然「俺もバタコ(親父殿が若い頃は、スクーターのことをこう呼んでいたらしい)に乗るぞ。」と言いだし、当時としてはややマイナーなヤマハサリアン(ボディーカラーは赤)を購入。なんで、当時流行っていたベルーガやタクトでなかったかというと「なんか偉そうなのがイヤ。」と言っていたが、キャラクターに起用された宮崎美子が気に入っていたのではないかと、小生はにらんでいる。ちなみに少しでも格好をつけたくて、親父殿のサリアンに、当時ファンだった松本伊代のステッカーとRCサクセションのステッカーを貼っていたところ、3日後には松本伊代のステッカーは剥がされていたが、なぜかRCサクセションのステッカーは無事だった。親父殿は原付のヘルメット着用が義務化されると「ヘルメットがうっとうしい」といって乗らなくなってしまった。
 親父殿がサリアンに乗るのは、たいがい仕事がはねた夕方か昼休みのため、当然のように日中は小生がこれを拝借していた。友人達とレースごっこをして遊んでいた。主に遊んでいたのは北防波堤と添川から下新城に抜ける峠道。今となっては進入禁止になっていたり、交通量が多かったりでそんなまねはできないが、当時は通る車も少なくスクーター自体、2.22馬力とか4馬力とかで悲しいほどスピードが遅く、のどかな時代だったのである。ちなみにこの時代、小生の友人は夜中に広小路をロードパルで走っていて、カモシカに追い越されたそうで、翌日大層落ち込んでいた。
 こんな風に高校時代(予備校時代を含む)は、借り物のスクーターで遊びまくっていた小生であるが、大学に入学と同時に初めて自分のバイクを購入したのがヤマハDT50である。このバイクを購入したバイク屋の社長や常連というのが面白い人たちで、新人が「そこそこ乗る方」と判ると水道山のてっぺん、ポンプ場のさらに奥に石碑が建っている場所があり、その前がオフロードのコースみたいになっているところがある。そこに連れて行かれるのである。そして曲がり方とコケ方をじっくり覚えさせられるのである。社長曰く「自分が売ったバイクで事故起こされたらヨイでねえ(大変なことだ)」とのこと。おかげでこの店はもう20年くらい続いているが、常連の中からは後遺症が残るような事故は一人も出していない。それで何とか公道で無茶な走りをしなくなると、ようやくツーリングに誘ってもらえるのである。現在の水道山は今は遊歩道が整備されバイクを含めた車両進入禁止となってしまったが、今でも時々息子の散歩がてら当時を懐かしみに行く。
 次に買ったのが大学2年の頃買ったSRX250という中型バイク。このバイクにはとにかく楽しませてもらった。今となっては珍しくもないがリッターあたり35kmの高燃費を誇りとにかく軽いので運転が楽。トップスピードこそ140kmと遅いが一般道では十分な速度、もちろん高速道路でもソロツーリングなら人様に迷惑をかけない程度に走行可能。秋田を5:00頃出発、東北道を使って夜には下北沢の友人宅で酒盛りをしているなんてこともあった。圧巻は大学の卒業旅行と称して行った四国八十八カ所札所巡り。別に信心深くて行ったわけではなく一度四国に行ってみたかったから。秋田ナンバーで巡礼をしている若造はそれだけで珍しいらしく、立ち寄り先ではよく声をかけられた。
 その後ヤマハXZ400、ホンダデグリーと乗り継いだが、平成13年初めての外車KTM200EXCを購入。ところがこのバイク、オフロードレーサーにそのまま保安部品をつけたようなとんでもないバイクで、乗っているときは実に面白いバイクなのだが、時代に逆行する2ストロークエンジンだわ、リッターあたり10kmしか走らないわ、エンジンシリンダーは割れるわ、オイルはもるは・・・んで買って八年たつのに1000kmしか走っていない。前述のSRXはかれこれ20年以上たち、走行距離も140000km以上だがいまでも普通に走れるのに対し何とも複雑な心境。バイクに関しては小生にはやはり国産があっているようだ。
 ところで今年6月、往診用として新型スーパーカブを手いれた。表向きはエンジン音も静かで「出先で駐車場所に困らないから、近所の往診に楽」と言うことだが、本当は110ccのエンジン(通常のスーパーカブは50cc)で、原付ではなく小型二輪扱いのカブに乗ってみたかったから。購入後、寒風山に登ってきたが、予想以上のパワーで難なくクリア。おまけにリッターあたり60kmの高燃費。もちろん実用として往診にも使っているが、しばらく楽しめるオモチャを手にしたと言うのが本当のところだろう。
 次は、小生と大学時代の同級生で最近開業した田中秀則先生、宜しく御願いいたします。
 
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