地球温暖化の原因とされる温室効果ガス(特にCO2)の排出削減努力が、今や企業イメージに不可欠な世の中になりました。私も興味があり我が家でもCO2排出削減に寄与するために、太陽電池パネル(4.23kW;三洋電機)を設置しました。石油火力発電所における1kWh発電するために必要な石油消費量は0.227~0.243L(各種報告により多少のばらつきあり)といわれています。2007年我が家では4321kWhの発電量がありました。これにより0.227×4321=980.9Lの石油を使わなくて済んだことになります。環境へのCO2排出削減量は1359kg-CO2(CO2の発生量は、太陽電池生産時に発生するCO2の発生量(O.O455kg-CO2/kWh)を加味し、0.3145kg-CO2/kWhで試算。三洋電機)減らせたことになります。日本の1世帯あたり平均CO2排出量は約5200kg-CO2(2006年;JCCCA:全国地球温暖化防止活動推進センター資料)といわれていますので、1359÷5200=約26%削減できていることになります。冬には雪が積もり発電はほぼゼロになる秋田でこの程度ですので、日照時間の多い地方(秋田県が全国47都道府県で最少)ではより高いCO2削減に寄与できます。ただ、気温が高いと電池としては発電効率が落ちるようですが。 ただし、この設置のために約300万円かかりました。仮に毎年4300kWhの発電量があり、1kWhあたり22.56円(2008年10月の単価)で買い取り続けてもらえたとして、年間97008円となり、元を取るには約31年かかることになります。太陽電池が故障なく31年持ってくれるかどうか分かりませんので、現状ではやはり自己満足に過ぎないと言われるでしょう。 しかしながら、太陽光発電は1997年に京都議定書で批准した温室効果ガス削減(対1990年比-6%)を達成するのに、とても有効な手段であり、日本の太陽電池生産量は世界2位であることを考えれば、是非普及させてゆきたいものです。 太陽光の発電コストは約46円/kWhと石炭火力や原子力発電の約8倍と言われており、普及のためには、太陽電池が大幅に値下がりするか、もしくは多くのヨーロッパの国で導入されている固定価格買い取り制度(初期投資にかかったコストを電気料金に上乗せして一般電力利用者に転嫁する法律)を導入する必要があると考えられます。 太陽電池については、短冊形、薄膜アモルファスシリコン型、色素増感型と、技術開発により製造コストが、将来は現在の半分から四分の一程度になる可能性が見えてきました。 他方、固定価格買い取り制度に対して日本は及び腰であり、むしろRPS法(再生可能電力割当制度)というもので電力会社に再生可能エネルギーの一定量を買い上げる(と言っても2010年までに全電力販売量の1.35%とわずか。ちなみに2007年度は0.94%。)ことを義務づけたにとどまり、あくまでも技術開発と需要拡大による太陽電池のコスト削減による普及を目指しています(総合資源エネルギー調査会新エネルギー部会緊急提言(案)2008年6月24日)。 現在の日本での再生可能電力(太陽光、風力、地熱、バイオマス)の買い取り価格は販売価格と同じですが、ドイツでは通常電力の3倍で買い上げて(固定価格買い取り)くれており、これが太陽光発電の普及につながっているそうです。 やはり、過去の政策において日本は、CO2削減に対し決して積極的ではありませんでした。 しかし、今年洞爺湖サミットを主催したこともあり、政策にも変化が見られるようになって来ました。福田康夫元首相は、太陽光発電は、2020年に現状の約10倍、2030年は約40倍を目標とする(「低炭素社会・日本」をめざして2008年6月9日;日本記者クラブ)と、言っています。また、5年をめどに太陽光発電の価格を半額にするという目標を閣議決定しています(7月29日)。最近では麻生首相が住宅(リフォーム)ローン減税の延長と控除額の上乗せを示唆しました(10月23日)。これは、太陽電池パネル設置のためのリフォームも視野に入れたものに違いありません。今後は、太陽光発電がより身近な社会になってゆくはずです。 さらに+オール電化にすれば、ヒートポンプ式の電気給湯器「エコキュート」が利用でき、夜間の低額電力を利用する料金体系(やりくりナイト)にできますから、電力料金もより安くなります。シャープのホームページで紹介されている岐阜県の家庭では(http://www.sharp.co.jp/sunvista/good_thing/electricity_costs.html)、光熱費が年間で約71%削減できました。 近い将来、家庭での太陽光発電も何とか初期投資に見合うものになりそうだと思いませんか。
|