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<ペンリレー>

発行日2008/07/10
市立秋田総合病院  山本 博毅
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焼酎礼賛
 
 《蒸留酒の一種。酒かすや米・麦・さつまいもなどから作る。アルコールが多い。》と岩波国語辞典に記されている液体の話です。
 今から8年ほど前に、とある料理屋で焼酎をすすめられ、数種類の焼酎を試飲させてもらったことがありました。日本酒党だった私の焼酎に対するイメージは、くせのきついアルコールでした。ところがそこで出された焼酎は、ほろ酔いだったこともありすいすい体にすいこまれていき、これはよからぬ飲み物か?と思える代物でした。しかしこれはその時のみのプチ体験で終了しました。その後折からの焼酎ブームもあって、私が焼酎を飲み始めたのは4年ほど前からです。当時勤務していた鹿角の病院の近くに焼酎バーなるものがありまして、その扉をくぐったことがことの始まりでした。そのうち通いつめることとなり、マスターの薫陶をうけていきました。凝り性の性格もありまして、深みにはまっていきました。
 ご存知のように、焼酎は芋、麦、黒糖、米、はては牛乳、トマトに至るまでさまざまな原料があります。その焼酎バーには壁一面に一升瓶があり、勧められるがままに100種類以上の焼酎を飲んでしまいましたが、いろんな味があることがわかってきました。私の好みは芋焼酎です。一口に芋焼酎といっても、使う麹によって、昔ながら黒麹の他、白麹、黄麹、芋麹とあり、製法も昔ながらの常圧、軽快な減圧、原酒、はなたれ、梅干お湯割りの何度も蒸留する甲類までさまざまです。原料の芋も10種類以上あります。味も芋の果汁のようなものから水のようなもの、臭いもの、エタノール?というもの、木をかじっているようなものまでさまざまでした。しかし味が記憶に残るものは3つに1つくらいで、飲んでいくうちに好みの味ができてきました。おいしい焼酎に出くわすとたいへんうれしい反面、飲み過ぎないよう自制することが必要でした。
 おしゃれな店でも焼酎がおかれている今、焼酎≒おやじのイメージがやや薄れてきています。銀座のクラブでは森伊蔵の1升瓶を10数万でいれる人間も多いそうです。そうはいっても焼酎は大衆酒です。基本は1升2000円程です。アルコール度数/円では安いお酒です。やかんとコップも似合います。ひとくち口に含み、舌の上で転がし空気を混ぜて鼻腔からぬきその風味を表現して・・・・・・といったくだりは縁がありません。お湯割りだろうがロックだろうが前日から水で割ろうが、好きにしてくれという気取らない空気があり、食べ物を邪魔しないという控えめなところもあります。からだにいい、翌日に残らないという殺し文句もあります。しかし酒豪ではない私は宿酔いに見舞われることも多々あり、からだによいことは実感できていません。時間差でガクっと酔いが一気にまわることもあります。つまり、飲みすぎてしまうのです。焼酎がいい奴なのか悪い奴なのかは謎です。
 現在は巷の焼酎ブームも一段落ついて、私のブームも一段落つきました。しかし今でもお店にひいきの焼酎がおいてあると気分が高揚し、焼酎が好きだという人がいるとその人がいい人に感じられてしまいます。

 次の執筆は当院の救急診療部長の円山啓司先生の予定です。
 
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