唐突ですが、わたくしアロマテラピーアドバイザーです。
緩和ケアチームでアロマテラピーをやりたいと看護師さん達に言われ、病院で患者さんを対象に安全に行うには、誰かがなんらかの資格がないといけないねえと歓談。いろいろな香りの効能を勉強すればよいかと思っていましたが、補完代替療法の歴史から始まり、神経生理学や精油(エッセンシャルオイル)の化学組成。精油を取り扱うための法律関係事項などの項目が多岐にわたっておりました。勿論、指定された20種の精油から2種出題され嗅ぎ分けなければいけません。香りに関しては、小さい頃から、妹が夜中に作っているインスタントラーメンの銘柄を2階の自分の部屋から嗅ぎ分けるという嗅覚をもってましたので、自信はありました。 しかし、それよりも大変だったのは試験会場でした。試験は年2回、東北は仙台で行われます。私が受験したとき(2年前)は600名くらいのなかで、男性は5名もいませんでした。約8割以上が20歳代前半(私の娘と同じくらいの年代)で、残りがカルチャースクールで集団受験しているおばさま達でした。私は、非常にあやしい存在でした。とにかく、過酷な環境にも打ち勝ち、みごと1回で試験は合格できました(二度とこんな環境での試験はありえないです)。 試験会場では、当院のスタッフの影もなく、資格取得を報告すると、みなさんの反応は「へ~勉強してたんだ~」という反応でした。まあ、それでも、資格をとってからはみなさん多少、私を認めてくれているような気はしているのですが、どうでしょうか??
アロマ環境協会ではアロマテラピーとは、「植物の香りやいろいろな働きの力をかりて、こころやからだのトラブルを穏やかに回復し、健康回復や美容に役立てていこうとする健康法」と定義されています。医学的には補完代替療法というエビデンスのはっきりしない治療法とされています。しかし、これは、資格所得のため受験勉強をするとわかるのですが、アロマテラピーは非常に科学的に解明されており、医学的エビデンスを出す臨床試験が行われていないからエビデンスがないということがわかります。 「アロマテラピー」という言葉は、20世紀初頭にフランスの化学者ガットフォセがやけどに対して、「ラベンダー抽出液」を用いて治療した時に命名されました(ここ、試験に出ます)。それ以来、植物から抽出精製される精油成分はクロマトグラフィーで分析され、どの成分がどう反応するかが解明されている(この成分も試験に出ます)。そして、これらの成分の揮発部分は嗅神経を刺激して、直接大脳辺縁系が刺激されます(ここも試験のヤマです)。そのため、情動や睡眠などに作用することになります。
わたくしが、アロマテラピーに興味をもったのは、看護師さんたちにおだてられただけではありません。もともと、私、ハウスダストや冷気に刺激され、咳が出ることがおおかったのですが、アロマテラピーで咳止めを処方して使用したところ、たちどころに咳が出なくなりました。ペパーミント精油1滴+レモン精油1滴+ユーカリ精油1滴+蒸留水20ml+エタノール20mlを霧吹きで2回ほど部屋に吹き付けるだけです。精油だけをゴミ箱に滴下するだけで十分な効果です。これ以来、入浴剤として、フレグランス、アロマポットによる芳香浴、ハンドクリームなども作成してます。
お勧めレシピ ①ラベンダー:万能の精油。リラックス効果、消毒作用、創傷治癒作用などがあります。しかし、香りの癖があり、嫌う方も少なくありません。
②柑橘系(スィートオレンジ、グレープフルーツ、レモンなど):リラックス作用あり、不眠症の方や冷え性の方には枕元に1滴で抜群の効果を果たします。万人に好まれる香りで、安価ですので、このあたりから利用するとよいでしょう。
③ティトリー、ユーカリ:いずれもオーストラリア産フトモモ科の木(これも試験に出ます)です。殺菌作用が強く、もともと、これらの木の周りには虫がつかないことから利用されるようになったようです。気をつけて見ますと、最近の歯磨きやスキンケア剤には結構配合されてます。
④ローズマリー:頭をすっきりさせる作用があり、ドライブの時に常用しております。眠いときなど、受験生などにはよいでしょう。
当院では、化学療法室とリンパ浮腫ケア室でアロマを使用しています。たまに、どこで聞いてきたのか、不眠症で緩和ケア外来を受診して精油をもらってゆくかたもいらっしゃいます。現在、当院の化学療法室には30種以上の精油を取りそろえており、多分県内有数と思っております。ご興味のあるかたは当院化学療法室の看護師さんにご相談ください。
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