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<ペンリレー>

発行日2006/03/10
秋田組合総合病院  星野孝男
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飛行機の話
 
 ライト兄弟が人類初の有人動力飛行に成功したのが1903年のことでした。今からたった100年ほど前のことです。その後この分野の進歩はめざましく、現代の旅客機などは時速800km以上の速度で、一度に500人以上の人を運ぶことができるようになりました。理屈では飛べるとわかっていても、いざ巨大な旅客機を目の前にするとこんな大きくて重いものが空を飛ぶのが不思議に思われます。
 私はそんな旅客機に魅せられて、最近飛行機ウォッチングと写真撮影をしています。空港の展望デッキに行くと、イヤホンをしながら大きな望遠レンズの付いたカメラで撮影している人を見たことがあると思いますが、まさにあれが飛行機撮影のスタイルなのです。イヤホンで航空無線を聞いていると飛行機の動きが事前にわかります。なくても写真は撮れますが、あると非常に便利です。カーナビがなくても車の運転はできますが、あると便利なのに似ています。全ての航空機は地上であれ空の上であれ、管制官の指示・許可なく動くことはできません。逆に言えば管制通信を聞くことにより飛行機の着陸経路、地上での道順、駐機する場所、目的空港、出発滑走路の向き、離陸後の機体の向きなどさまざまな情報を知ることができるのです。また、気圧、風向、風速などの気象情報から飛行機の動きを予測したりすることもできます。航空無線の傍受を「エアバンドリスニング」といってこれだけでひとつの趣味として成り立つほどです。エアバンドを聞いていると旅客機がいかに安全に効率よく運行されているかを知ることができます。パイロットはディスパッチャーと呼ばれる専門職員からの最新の気象情報、滑走路情報などをもとに飛行計画書を作成・提出します。管制部門は計画書を元に他機との調整を図り出発許可を出します。出発準備が整っても到着空港が混雑していたりすると離陸許可が下りません。よく出発準備を整え滑走路に進入してもなかなか離陸しないことがあるのはこのためです。また、予定した巡航高度に達しても予想以上に揺れがある場合などは、先行した飛行機の情報を元に高度を変えたり飛行ルートを変えたりします。このようにエアバンドレシーバーは飛行機好きにはなくてはならないアイテムなのです。
 一方飛行機好きな人の中には、あまり大きな望遠レンズは持たずに、標準から中望遠程度で飛行機の真横の写真をとる人たちがいます。こうすることによって、機体後部に書かれた登録記号番号(車でいうところのナンバー)、機種、航空会社がはっきりわかるように撮影するのです。このような人たちを「スポッター」、このような趣味を「スポッティング」といって飛行機趣味の中では世界的にメジャーな趣味です。私はといえば、秋田に住んでいることもあり、珍しい飛行機にはなかなかめぐり逢えないので、「豊かな自然と飛行機」をテーマに撮影しています。春の桜や新緑、夏の入道雲、秋の紅葉、冬の雪景色などです。いまだに皆さんに見ていただけるようなものはなかなか撮れませんが、まあ趣味ですから失敗写真もまた楽しいものです。細々と続けていきたいと思っています。
 次回は同僚の笹原秀明先生にお願いします。
 
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