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<ペンリレー>

発行日2005/05/10
山王整形外科医院  湊 昭策
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半死半生語
 
 先日、私の友人が、ロータリークラブの100周年で講演した際に、言葉の移り変わりについて触れた。時の流れとともに言葉は少しずつ変わる。あるものは使われなくなり、新たに生まれたり、変化したものが一緒になり、その時代の言葉として存在する。
 このなかでしだいに使われなくなり忘れ去られようとしている言葉を、「半死半生語」というのだそうである。われわれの年代にはわれわれの言葉がある。今の若い人たちにおいても同じことが言える。
 彼は、今の10代、20代前半の人のほとんどが「貞操」という言葉を知らないと言った。なぜならば、この年代に、もはや「貞操」という概念が存在しないので、その言葉を使う必要が無くなったのだそうだ。半信半疑のまま早速その日のうちに川反で取材(飲みにいった)してみた。まず若い子から、<え、なにそれ、知らない>二人の子が互いに顔みながら、不思議そうにママの顔をのぞいていた。<じゃあ、みさお(操)って知ってるか>との問いにもく知らなーい>である。ママもあきれていた。次の日、娘に同じ質問をしたく貞操って貞操帯の貞操?あの十字軍のでしょう!>という返事、貞操そのものの意味は、わかっているか疑問であった。それ以来、妙に、昔使って、今ほとんど便われない言葉に興味を持つようになった。言葉は、普通10年で5%入れ替わるといわれている。
 しかし、今の日本は8~9%入れ替わっているそうである。新しい言葉がどんどんでき(特に、若者の間)それが瞬時に全国に広まり、瞬く間にみんなが使う、ということであろう。 われわれ医学の世界にも同様のことが起きていると思い、いろいろとひろってみた。病名に関しては、成人病~生活習慣病、痴呆症~認知症、などは最近学会や、国などが病名の変更が望ましいとして一斉に替えた例があるが、増えてはいるがあまり死語は見当たらない。これは、薬が厚生労働省の管轄下にあり適応症(効能又は効果)をあえて減らすことをしていないから古いものがいつまでも残ってしまうということであろう。「カッケ」「イタイタイ病」「スモン病」「ライ病」「花柳病」「肺病」等はやがて死語となる運命といってよい。秋田でよく使われた がっちゃき ねごぼ(根太癤) という病名、さらに かいかい 等今は聞かない。
 われわれ学生時代ドイツ語の医学用語と日本語を合成した言葉を良く使っていた。もちろんこれは先輩たちから教わったものであるが、たとえば、 シュルンペる・萎縮する、びびる、ちぢむ(なにが?) メタる・飲みに行って次の店に移動する ゲルピン・げる(Geld、お金)+ピンチで、おかねがない シュヴァンゲる・妊娠する ペルホった・穿孔した ステった・死んだ エルブレした・吐いた ハー、イプシロン・ヒステリー などいろいろ使った気がする。合コン、地味婚、人前婚は今流行りだが ビーコン、トリコン・再試験、再再試験 これらは今の学生は使っているのだろうか。
 ちなみに今は、 スタばる・スターバックスにいく だそうである。最後に次の言葉のいくつ知ってるか試して下さい。「検番」「パーマ屋」「八百屋」「鍛冶屋」「美人局」「カフエ一」「キャバレー」「コンパ」以上半死半生語。「ケー番・携帯電話番号」「バリサン・携帯電話の電波表示が3本立って通話状態の良いこと」「バリゼロ・バリサンの反対」「飲み・飲み会」「宅飲み・家で飲むこと」「気もい・気持ちが悪い」「きわい・きわどい」「めんどい・面倒くさい」「むずい・難しい」「うざい(うざったい)・じゃまな、面倒な、うっとうしい」等々、新しい言葉は若者によって作られて使われて、しだいに定着してゆくもののようである。大人が作ると「おやじギャグ」といって笑われる。
 
 ペンリレー <半死半生語> から